感想を書きます。
この映画は、シベリアという厳しい大自然の中で自然に敬意を表しながら
自然と調和して生きてきた一人の男の人生が描かれています。
しかし、衰えと共に視力が弱り、ハンターとして山で生きていけなくなりました。
そこで、山から町で暮らすことを決意します。
しかしそこでは、飢えや寒さとは無縁な生活で、自然とも対話ができない暮らしが待ち受けます。
黒沢監督は、こう語ります。
「デルスのように自然の中でたった一人でくらしている人間、自然をとても大切にし、尊敬し、怖れも持つ。その態度こそ、 今世界の人間が学ばなければならないところです。」
まさにデルスの生き方は、
自然を尊び、全ての生き物、全ての存在に敬意を払い、必要最低限のものだけを自然から利用させていただくという生き方です。
太陽が与える暖かさを受け、心は温かくなります。
身体の水分は、海がなければ絶えてしまう。
このように、自然のものと私たち人間は全て繋がっているのです。
日本人もかつてシャーマニズムやアニミズムという信仰がありましたが、
現代社会では忘れ去られています。
あるワンシーンで、デルスと探検家は、遭難した場所に生えていた植物をかき集めて
夜を生き延びるシーンがあります。
これこそ、シェルターであり「暮らしの原点」といえます。
そして、フィンランド人はサウナが生きる最初のシェルターです。 そこで、外敵から身を守り、寒さを凌ぎ、子供を産み、食物を燻し生き抜きます。 この映像を通して自然と暮らしの原点について考えてみてください。